ヒット・パレード



「ねぇ本田さん、いったいどうやって今回の特番勝ち獲ったんですか?」


この弱小音楽部門が、いったいどんな魔法を使って今回の結果を導き出したのかと、興味本意に尋ねる初音陽子に、本田は意味深な笑顔で答えた。


「まあ、あの局長も、昔は純真な音楽少年だったってところかな」


正直言って本田も、局長がトリケラトプスにあんなに食い付くとは思ってもみなかった。


結果、その事が好を奏したのだが、その反面これでトリケラトプスをステージに引っ張り出す事はこの企画の絶対条件のミッションのようになってしまった。


実を言うと、このミッションをクリアする事が並大抵な事では無い。


その難度は、山口百恵を再びステージに上げる位に難しいと言える。


今思えば、ずいぶんと無茶な事を口にしたものだな……と本田は少し自嘲気味に笑った。


しかし、それと同時にこれは本田がこの仕事に就いた時からずっとやりたかった事であり、彼の夢でもあった。


記念特番の日まで、あと半年。



本田の目の前には、長く険しい道のりが続いていた。



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