ホルケウ~暗く甘い秘密~


翌日の朝、りこが目覚めた時には政宗はいなかった。

札幌の大学に行くため、もう家を出たのだろう。

新しい高校の制服は、白いセーラー服だった。
涼やかなデザインのそれに袖を通し、鏡の前に立つ。

それまで着慣れていたブレザーとは、全然着心地が違う。

胸元のリボンを結び、セミロングの髪をポニーテールに結い上げると、りこは昨夜出しておいたエプロンをつけ、朝食作りに取りかかった。

冷蔵庫から適当な野菜と卵を取り、スペイン風オムレツを大きめに作る。

それとカフェオレがあれば、朝は充分だ。

学校は午前で終わるから、昼は自宅でまた何か作れる。

朝のニュースをチラチラと見ながらペースを落とさずにオムレツを掻きこみ、カフェオレで流すと、少し長めに歯を磨く。

確か、この家から学校までは徒歩で10分ほどだ。

もうすぐ、時計の針は8時を回る。


(忘れ物はないな……と)


スクールバッグの中身を確認し、昨夜磨いた黒のローファーに両足を突っ込む。

家を出た時の、夏独特の植物の濃い香りがりこの鼻腔をくすぐった。

この土地は、湿気とはほぼ無縁だ。


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