僕らが大人になる理由


首尾一貫した冷たい態度で言い放ち、あゆ姉は去った。

一日にこんなにも「下種」と言われたのは初めてだった。

俺は、盛大な溜息をついてから頭を抱えた。


「くそ…、やっぱバイト先の子はまずったかー」


まさかよりによってあの二人と休憩が被るとは…。

真冬には本当に悪いことしたな…。あいつそういうの本当にうとそうだし潔癖っぽいしなあ…。

不潔って言われても仕方がない。真冬に嫌われちゃったのかな、俺。


「ま、いっか」


女に好かれことも嫌われることも慣れてるし。

俺はもう完全に冷め切った三食丼を頬張った。


「げほっ!!!」


…3色のうち緑色がすべてわさびだったことに、なぜ俺は食う前に気づけなかったんだろう。

そうでした。あの姉さんはこういうことを普通にやる人でした。

俺は咽ながらダッシュでキッチンに向かい、紺ちゃんにどんぶりを突きつけた。


「ちょっと、これどういうこと?」

「ああ。気づかなかったんですか。バカですね」

「紺ちゃんグルだったの?!」

「大体のことは二人から聞きました」

「こ、紺ちゃ、君だけは光流の味方だよね…?」

「光流」

「はい」

「真冬は光流を好きなんだから、もっとちゃんとよく見てあげて」

「は…?」
< 68 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop