ひらり、舞う、恋
ハッと目を覚ますと、珍しく目覚ましより先に起きることができた。
何かの緊張感?






リビングに下り、キッチンで朝食を準備するお母さんの横で簡単に自分のお弁当箱を詰めた。





「かれん、今日はお弁当ひとつでいいの?」




「へっ!?」





お母さんの直球の質問につい声が裏返る。





「いいのひとつで!もうっ…気にしないでよっ。」





照れ隠しのようにサッサとお弁当を詰める私を見ながら、お母さんは微笑ましくクスクスと笑っていた。







朝食を終え、最後の身嗜みをしにまた自分の部屋に戻ると、ベランダの窓をコンコンと叩く音が聞こえた。





いつものことなので、慣れた様子でベランダの窓を開けてひょこっと顔を出す。





「柊ちゃん。」



「おうかれん、おはよ。」






お隣通しなので、柊ちゃんが壁を乗り越えてこちらの部屋に来るのは昔からよくあることだ。







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