ひらり、舞う、恋
走って走って、足がもつれそうになりながら、ギリギリで駆け込んでいつもの電車に乗ることができた。




はぁ、はぁ…




上がった呼吸を整えて、辺りをチラッと見渡すと今日はいつも以上に混んでいる気がする。
息苦しい満員電車は苦手。
ほんの10分の道程だけど、毎日となると憂鬱だ。






早く着かないかな……





流れる景色を見ていると、ふと違和感を覚えた。
太もも?お尻?に触れる手の感覚。
触れては離れて……





電車が揺れてるから?
ただの勘違い?








ううん……間違いない。
痴漢………
怖くて振り返ることもできない。
声も出てこない。





どうしよう……怖い。






ギュッと目を瞑った時だった。



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