そのなみだが乾く頃に
そのなみだが乾く頃に
今にもこぼれ落ちそうな涙をこらえながら、私は重い足取りで廊下を歩いた。

幸い、放課後の校内はあまり人気がなくて。ここまで知り合いとすれ違わなかったことをラッキーに思いながら、階段をあがる。

中央階段から3階にあがり、すぐ左に見えるドア。そこが、私のクラスの教室だ。

そのドアを開けて中に入ると、しんと静まり返った空間が迎えてくれる。

ほっと息をついて、私は後ろ手に、ドアを閉めた。



「……ッ、」



完全にひとりになったとたん、また、こみ上げてくる涙。

ごしごしと目を擦りながら、教室の真ん中あたりにある、自分の机へと向かうと。



「……?」



当初の目的である、机の横にかけていたサブバッグに手を触れたとき、教室の窓に近い後ろの床に、何かが落ちていることに気が付いた。

ゆがんだ視界をクリアにするためにまた涙を拭って、近付きながらよく見てみる、と。それは、一冊のノートで。

私は特に何も考えずに、屈んでそれを拾い上げた。
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop