僕等のヒカリ〜ひまわりの小さなキセキ〜



「4×8は?」



「32。」



「分かりました。お母さん、ちょっとよろしいですか?」




先生と女の人と女の人を支えている男の子が病室から出て行った。




あたし事故に巻き込まれたんだ……



だから、ところどころ痛いし包帯が巻いてあるのか。



それにしても、あの女の人の態度からすると、あたし記憶ないのかな……?



でも、本当に何も分からない。



自分のことすら分からない……



思い出そうとしても、全て黒く塗りつぶされているようで、そのものが見えない。



すると、先生たちが戻ってきた。




「新田さん、一週間ほど入院してくださいね。」



「あのあたしって記憶喪失なのですか?」



「はい、新田奈緒さんの場合は全生活史健忘と言われます。ただ、記憶が戻るかは私にも分かりません……」



「そう…ですか……」




目の前が真っ黒になって、未来が怖く感じた……






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