狼センセイと、内緒。
○o。..:* Ⅰ *:..。o○

*出会い*


菜波side


…恋ってなんだろ。

よく考えてみたら、結構難しい問題。
あんまり恋なんてしたことなかった私には、到底考えられない問題だった。


「はぁ…恋したいなぁ」


旗手菜波、高校2年生。
恋がわからなくても年頃の女子。
恋したいっておもうのが普通だよね!


「うぅ~!!恋したいのぉおおおお!!!!」


バンッ


「菜波!!?」

「へっ!?」


部屋のベットで寝っ転がりながら叫んだ私に、すごく焦った声でドアを開けた私の兄。
名前は頼(より)。


「お兄ちゃん、驚かせないでよー…」

「はぁ…それはコッチのセリフだバカ。
隣の妹の部屋からいきなり叫び声が聞こえたら驚くだろ!」


お兄ちゃんは静かにドアを閉めて、私の前に座った。

心配してくれたんだ…
やっぱり優しいなぁ、頼お兄ちゃん。
ま、大したことじゃないんだけど……


「どうしたんだ?いきなり叫んだりして」

「んー?えっとね…
実は恋がしたくて…」

「こ、恋…?」


お兄ちゃんは首を傾げて、「もうしてるんじゃなかったのか?」と聞いた。


「してないよ。
あれから全然してない」

「あれから?
…あぁ、お前が中学生の時の事か…」


私は静かに頷いた。
お兄ちゃんはあの事は気にすんなって言うけど、私にとってあれは…酷く心が傷ついた事だった。




















――中学2年の冬


「優真(ゆうま)くん!
マフラー編んでみたんだけど…どう、かな?」

「おぉ!すげぇ暖かそう!
さっそく巻くな!」


笑顔で私のマフラーを受け取ってくれた優真くん。
同級生の初彼で、付き合って3ヶ月の事だった。

…次の日。


「優真くん一緒に帰……あれ?」


優真くんの教室に行ってみたら、話し声が聞こえてきた。
盗み聞きは趣味じゃないけどちょっとだけ話を聞いてしまった。
…聞かなきゃ良かったのに。


「おいおい、また彼女からプレゼントかぁ?」

「あぁ、マジうぜぇよ」


ウザイ…?

一瞬耳を疑った。


「こんな手作りなモン別に頼んでねぇのにさ。
ほんとうぜぇ。
手作りとか重いし。」

「言うな優真ぁ!!まぁ、同感するけどよ!」

「だよな!はははは!!」


そうだったの?
本当は嬉しくなかったの…?
私の事…好きじゃなかったの…?――














「…いや!!」


思い出すだけで胸が苦しくなる。
あの時の事が私のトラウマになっているらしい。


「菜波…」


そっと頭を撫でてくれるお兄ちゃん。
いつもいつも、お兄ちゃんに助けられてばかりの私。


「お前が悪いんじゃない、悪いのはアイツなんだから。
菜波が気に病む事じゃない」

「でも…」

「…なんせ、お前はオレの妹だしな!ははは!」

「…もう。ふふ!」


お兄ちゃんといると、自然と笑いが零れる。
だから私はお兄ちゃんの事が大好きだった。


「でもなー、あん時殴りに行かせてくれなかったのは残念だったよ」

「暴力はいけません。
でもあの時のお兄ちゃんったら、すんごい血走った目してた(笑)」

「しゃあねぇだろ。
オレの大切な妹が傷ついて、その原因が彼氏だぞ。
殴りに行くに決まってる!」

「なにそれ!」


でもなんだかんだ言って、すごく嬉しかった。
今も嬉しい。
私を大切って言ってくれる人がいるだけで…
それだけで、こうして私は元気でいられるんだ。




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