未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
俺にはそういう発想はなかったが、言われてみれば確かにその可能性はあると思う。ただ、それがもしも当たりなら、ヒロミが戻って来る見込みは殆どないという事だ。


小松って、意外と頭の回転が早いんじゃないだろうか? 俺はどちらかと言うと頭の良い女の子は好きだから、大いに歓迎だけども。


そう思ったらますますヒロミが見つかるとは思えなくなり、真剣に捜そうという気がなくなってしまった。もっとも、初めからそれほどでもなかったのだが。

横を歩く小松も同じ思いなのか、真剣にヒロミを捜している様子はない。本当は捜すのをやめたいのだが、俺がそう言うまでは仕方なく、という感じだ。


それは少し気の毒に思うが、もちろんまだやめたりはしない。まだ肝心な事を何一つ聞いていないのだから……


「ところでさ、君にも休みの日ってあるよね?」

「はい、決まった曜日に頂いています」

「そう? どんな事をしてるのかな?」

「私ですか?」

「もちろん」

「えっと、お洗濯や部屋の掃除をしたり、本を読んだりしてます。あと、テレビドラマ観たりとかもしてます」

「へえー、出掛けたりはしないのかな?」

「時々はします」

「だよね? どんな所へ出掛けるのかな?」


俺は辺りをチラチラ見たりして、さもヒロミを捜しがてら何となく、みたいな軽い調子で質問を続けていった。実際は、全神経を小松の返答に集中させながら。

そして、もう間もなく判明するはずだ。小松に彼氏がいるのか、いないのかが……

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