未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
驚きはしたが、後悔はしなかった。もし、いきなり好きだの愛してるだのと言ったら、小松はもっと驚いただろうし、拒否されたり、あるいは警戒されたりしただろう。だったら、まずは友達から始めるのが良いのではないだろうか。子どもっぽい感じがしないでもないが。

うん。咄嗟に口を突いて出た言葉にしては、我ながら上出来だったと思う。しかし……


「どうかな?」

と問えば、

「信之さまと友達だなんて、滅相もありません」


と言って、小松は顔を思いっきり横に振った。


「嫌なのかい?」

「違います。嫌とかそういう事じゃなくて、信之さまと私では立場が違い過ぎます」

「立場? そんなものは気にしなくていいんだ」

「そういう訳には行きません。周りに何て言われるか……」

「周りが気になるなら、俺達だけの秘密にすればいい」

「そんな……」

「じゃあ、そういう事で決まりな? 今から俺達は友達なんだから、堅苦しい言い方はナシだし、何かあったら相談したりとか、ああ、休みの日にどこかへ出掛けたりもいいな」

「でも……」

「そう深刻になるなよ。友達だろ?」


ちょっと強引だったかもしれないが、これで俺と小松は友達だ。付き合って行く内に、小松も俺を好きになってくれれば言うことなしだ。


俺は自然と頬が緩み、足取りも軽やかになるのだった。

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