蒼月
故郷。
いつも思い出すことは
なくて


いつの間にか
周りに合わせて覚えた
言葉使い


気まぐれに掛かる
貴女からの電話


電話口から聞こえる
貴女の声は優しくて


何故だろう
泣きたくなった


《何かあったと?》
方言訛りの貴女の言葉が
懐かしい


《なーんも無か》
つられて唇から零れ
落ちた故郷の言葉


ホントは何かあったけど
それは今度帰ったら
話すね


いつも思い出すことは
ないけど


変わる私を変わらない姿で
迎えてくれる場所


多分
最後に還る場所は
貴女がいるその場所なんだと思う
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