そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「ユミちゃんさん、チビちゃんのことお願い出来ますか?」


涙を堪えチビちゃんをユミちゃんの胸に預ける。


「鈴音っち……陸君はなんて?もしかして、酷いこと言われたの?」

「私じゃ頼りににらないからユミちゃんさんにチビちゃんを見てもらえってさ~帰って来たばっかで疲れてるのに、ごめんね~」


ユミちゃんに心配掛けるのかイヤで、おどけて無理矢理笑顔を作る。でもそれも、もう限界だった。


涙が溢れ出しそうになり、逃げるように店を出た私は階段を駆け上る。


自分の部屋のドアを閉めた瞬間、我慢していた涙が零れ落ち、その場に崩れるように座り込んでしまった。


そして、ベットに突っ伏し声を殺して泣いた。陸さんに酷いこと言われたからじゃない。彼の役に立てなかった自分が許せなかったんだ……


このままじゃ、陸さんを女部長に取られちゃう……そんなのイヤだ!絶対に……イヤだ。


こうなったら、ユウキを信じて彼を頼るしかない。なんとしても陸さんが女部長の部下になることだけは阻止しないと……


泣き腫らした目で時計を見上げると6時過ぎ。ユウキとの約束の時間が迫っていた。


そうだ!ウジウジ泣いてる場合じゃない。私が陸さんを守らなきゃ……


ユウキから手渡されたメモを握り締め立ち上がると部屋を出て階段を一気に駆け下りる。


「ユミちゃんさん、私、出掛けて来ます!」

「えっ?えっ?出掛けるって、どこ行くの?」


驚くユミちゃんの手を握り、私は自分の決意を大声で叫ぶ。


「これは戦(いくさ)です!女の戦なんです!」

「いく……さ?」


そう、絶対負けられない戦なんだ……



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