そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「おぉ!!分かるのかね?そうだよ!3日前に、やっと待望の孫が生まれたんだ。一目見ただけで言い当てるとは、さすが琴音さんの娘だ」


別に言い当てたワケじゃないんだけど……と困惑してると、今度は黒いスーツを着た額に傷がある男性が突進してきて、私の肩をガシッと掴み大声で叫ぶ。


「頼む!教えてくれ!バーバラは……俺のバーバラは帰って来るのか?」

「ひぃ~……」


なんだこの人、めっちゃ怖い……


「ままま満月……今度の満月までに帰って来ますぅー」

「満月までに?そうか!帰って来るか……有難う!有難う!」


なぜか凄く感謝された。おまけに息が止まるかと思うくらい強いハグをされて気絶寸前。


どうなってんの?このおっちゃん連中はなんの集団なの?とイケメン弁護士に目で訴える。


するとイケメン弁護士が冷静な口調で話し出した。


「琴音さんは、この喫茶店を経営する傍ら占いもされていました。こちらの皆様は、占いの方でお付き合いがあった方々です」

「占い?そんなの初耳です!」

「はい、初めてお話ししましたから」

「おいおい……」


呆気にとられている私に、白髪のおっちゃんが嬉しそうに言う。


「琴音さんが居なくなって、これから誰を頼ればいいかと不安に思っていたが、君が後を継いでくれるのなら安心だ」

「ちょっ、ちょっと待って下さい!私に占いなんて無理です!」

「何を謙遜してるんですか?さっき私のことを言い当てたじゃないですか?それに、バーバラのことも」

「それは……」


そう言い掛けた時、イケメン弁護士が眉間にシワを寄せ小さく首を振ったんだ。


んっ?イケメン弁護士……いったい何をたくらんでいる?

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