もっと甘く   ささやいて
ζ.情熱的な彼
二年が経った。

三本を無事に撮り終え、私はジュデェスと別れた。

残り三本はTVで流れる。

主人公ヒースを演じる若手アーティストが、原作者である私にぜひ会いたいと言ってきた。

先方は私が最後に渡米していた時、アポを取ってきた。

「初めまして。」彼は二十代後半くらいに見えた。

新人らしい。

ジェフリー・カーンと名乗った。

「ルーニー、僕はジュデェス・クロエとは違うヒースを演じたい。」

「仕上がりが楽しみです。」

「三本だけで終わるとは思えません。続編をオファーしたいが、君のエージェントとコンタクトを取れるだろうか?」ジェフリーのエージェント、ジム・アンダーソン氏が言った。

「私にエージェントはおりません。私にダイレクトにおっしゃってください。」

「それは素晴らしい。自分のマネージメントもこなすとは余計なサラリーを払わなくて済みますな。言っとくが、ジェフ、私はサラリー以上に働いているんだぞ。」三人で笑った。

「ルーニー、今夜食事しないか?」

「喜んでご一緒させてもらいます。」

「ジムは来なくていいよ。」

「私はそんな野暮ではないぞ。今夜はワイフと約束があるしね。」三人でまた笑った。

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