君のせい



なんで………




「ちょっと!

なんで………なんで、きっ、きっ、キスしたんだよ!バカ!」



「はあ?」



「普通、そういうのって、付き合ってからするもんじゃないの!


なんで、


なんで、今したんだよ!」



吉井は、航太を背負い直すと、不機嫌そうな顔で私を見た。



「お前が俺の首元に顔近づけんのが悪いんだろ」



はあ???


「なにそれ?」



「お前さぁ」



睨んできた吉井を、睨み返してやった。




「かわいすぎなんだよ」


え。



睨んでいたのに、頬が一気に熱くなって下を向いた。




「好きなんだよ。



すっげー好きなんだよ、お前のこと。



誰にも渡したくねぇー」




嘘だ………



こんな、吉井みたいなかっこいい人が、


私なんかを好きになるはずない。




「信じられない」



「なんだよそれ、信じろよ」




私は顔を上げて吉井を見つめた。




「だって、私……かわいくなんかないし」


吉井は一度目をそらしてから、またこっちを向いた、


「お前さ、ほんと何にもわかってねぇな」


「わかんないよ、なんで私なんかを……



吉井の気持ち、わかんないよ」







< 78 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop