呪いのブレスレット
あたしは振り返り、とっさに考えた嘘を言う。

「お札さ、けっこう置いてきちゃったから余っていると思うの。風で散らばったら次回からやらせてもらえなくなるでしょ? 取って来るね」

「えー 今じゃなくてもー けっこう怖かったよ。あたしは泣き声じゃなくて不気味な笑い声が聞こえたし」

「気のせいだよ。霊なんているわけないし」

あたしはひきつった笑みを浮かべる。

「じゃあ、小杉たちを脅かしちゃえば? 先輩、かなりビビッていたから」

みのりは悪戯に瞳を輝かせる。

「う、うん。そうだね。ちょっと行ってくる」

「OK~」

みのりに送り出されて、あたしたちは小杉と田島先輩を追った。

「玲奈は肝試しの時、なんかあった?」

あたしは歩きながら声を落として玲奈に聞いてみる。

「気配は感じたけど、なにもされなかったよ」

「霊感があるって大変だな」

翔平はのんきに言っている。

「まあね。でも見えないから」

「それも怖いな。俺みたいにまったくなにも感じないのが一番だな」

変な自慢になっている。

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