Eternal Silence

9.アイツの病気-嵩継-






アイツを鷹宮の病室に残して、
オレは一度、病院を後にした。




アイツの自宅に行く前に、
鷹宮の家へと車を走らせる。




そこにはちょうど、
車から降りる千尋君の姿が見えた。





「今帰りか?」





千尋君の車は土足厳禁らしく、
いつも靴を脱いで運転している。



オレにとっては、
堅苦しくて無理だ。






「はいっ。

 今日は大学も早く終わったので、
 後で病院に少し顔出そうかと……。

 勇人も今日は用事があるみたいで
 大学から直接出掛けたみたいだし。

 嵩継さんは?」


「オレは、今から出掛ける。

 ダチが入院したからな、
 おふくろさんの様子見に」


「そうなんですね」




院長夫妻のもう一人の息子。



鷹宮千尋。



千尋君もまた……
勇人に似て、影があるガキだった。


勇人と違うのは、
オレが言葉を交わしても、
オレの中に入ってこない。



最初からガードが固くて
締め切られてる感じがする。



まっ、勇人みたいに
ガードを緩めたふりをして
中に偽りの自分で侵入させてくるのも
考え物だと思うんだけどな。







なまじ、坊ちゃんすぎて
いい子ちゃんすぎて、
曝け出すことをしらねェ。






「なぁ、千尋君。

 少し専門書を借りたいんだけど、
 見せて貰えないかな」


「あぁ、いいですよ。

 気になる症例でもあるんですか?」






千尋君は車の鍵をかけて、
自宅の中に入っていく。




オレもその後を追うように、
鷹宮邸に入った。

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