もう一度、君と…。

寮に入ると…晟弥が居た。

晟弥はココ…繋田高校に入って2B特待である。

2が付いてれば、寮は免除に近い。

「…多和か」

少し驚いた様な視線が向く。

俺は気にせず、傘を閉じて…雪を手で払い落とす。

「…っ、多和…それっ」

目を見開いて、傘を指差す。

晟弥とは昔から仲が良かった。

「嗚呼、街歩いてたら…『あげます』って言われて…」

「違う違う!傘のえの部分見ろ!」

俺はすぐに傘のえの部分を見ると…そこには意外な人の名前が…。

俺は驚きと嬉しさで…。


【恋羽】


「…恋羽?」

「…あったの?」

晟弥は不思議そうに俺を見た。

「いや…。アレって…」

恋羽だったのか?

俺は晟弥を置いて、自分の部屋に戻ろうと足を向ける。

ドンッと人とぶつかってしまう。

「あ、すんません」

「あ、こちらこそごめんね?」

俺よりも少し小さい…女の子らしい雰囲気の男子がウルウルと見てくる。

「…雪道多和」

「え?」

なんで俺の名前?

「おい、那智!はよこいよ!」

「…あ、なんでも無いよ。僕は呼ばれたからまたね」

ニッコリと笑顔を浮かべて去って行く。

俺は少し首を傾げて、考えるも…思い出せない。

でも…どこかで…。


俺は部屋に戻って、傘を見つめる。

「やっぱり…恋羽だったのか?」

…確かにあのマフラーは恋羽だったかもしれない。

でも……彼氏がいた。

アレって…彼氏だよな?

2人で仲良さそうに、人混みに消えて行く姿。

俺はサーッと血の気が引いて…今にも崩れ落ちそうになった。

< 235 / 291 >

この作品をシェア

pagetop