「 」で出来てく物語
けれども、8



【エレベーター】



春太「あ、ラッキー。ちょうどエレベーターきた」


七世「……俺乗らない」


春太「は? 何言ってんだよ」


真白「そういえば七世あれだもんね」


春太「あれ? なんだあれって」


七世「閉所恐怖症」


春太「へ……へいしょしょうふしょう……」


真白「"しょ"が多い」


七世「へいしょきょうふしょう」


春太「やめろよ! そのちっちゃい子が分かり易いように平仮名でしゃべる感じ!」


七世「似たようなもんだろ」


春太「似てねえよ!」


真白「密閉した狭いところとかに長時間居れない人の事だよ~」


春太「へぇ……そんなんあるんだ。嫌なの? エレベーターとか」


七世「やだ。あの狭い空間に閉じ込められのかと思うと怖くなる」


春太「あの七世が……怖いって……熱でもあんのか……」


七世「俺を何だと思ってんだよ」


真白「春太みたいに怖くて泣いたりしないだけ、七世の方がよっぽどマシだと思うんだけど」


春太「あれじゃん……怖いと出るじゃん……涙」


七世「……出ねえよ」


真白「あれは? 暗所恐怖症もあるじゃん」


春太「……あ、あんしょしょうふしょうな。やだよな、あれ」


真白「絶対知らないじゃん。知ったかぶり下手か。暗いところがダメな人の事だよ」


七世「それは別にない。暗いところは平気」


春太「なんかよく分かんねぇけど、エレベーター乗れないんじゃ不便だなあお前」


真白「ちょっと……どこ行くの春太」


春太「は? だってエレベーター無理なんだろ? 階段で行くしかないじゃん。先行くぞ」


真白「…………」


七世「…………」


真白「ねぇ、ここ何階だっけ」


七世「1階」


真白「俺らが行くのは?」


七世「8階」


真白「先行っちゃったね……春太」


七世「そうだな……俺らも行くか。エスカレーターで」


真白「エレベーターがダメなら階段とか、あの人はどうしてあんなにも単純なのだろう」


七世「よせ、きっとエスカレーターを見たことが無いだけだ。アイツに罪はない」


真白「今頃階段の途中で泣いてそう」





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