悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence


「神威、後もう一つだけ。
 早城の親は、兄貴が……お前のお父さんが選んだ人だ。

 俺は早城の両親によって救われた。
 だから俺は決めた。

 早城の親には、神威に対して敬語は使わせない。

 お前は俺たち前では、徳力の当主じゃなくて
 ただの徳力神威。

 兄貴の忘れ形見なんだ。

 それだけは忘れるな」




俺の周りには、こんなにも身近に
支えてくれるヤツラがいる。


鷹宮にも同じように見守って、
支えてくれる人たちがいる。


俺は支えられて、今日まで歩き続けられた。


だから……神威にも気負わずに支えてくれる
そんな奴らと出逢って欲しい。


その為の手助けなら、
俺の親友たちも精一杯の力を貸してくれる気がして。


そんな奴らと一緒に、
俺はアイツの居場所を守ってやりたい。


アイツが徳力の荷物をおろして、
僅かでも息抜きできる場所が出来ればいい。


否応なしにでも時が来たら、
当主として動かないといけない。



今も、当主としての責務は多いだろう。



だが……贄となるべき、
バカな役割はすべて排除して
新しい一族の体制を整えていく。



その改革を神威と華月と進めながら。






ふと窓から外を眺めると、
薄らと空に架かる虹が視界にとまる。
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