悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence

エピローグ




「母さん、行ってくるよ」



退院した翌日、俺は神威と二人
マンションを後にする。



俺が運転する愛車で向かうのは、
昂燿校と俺たちの故郷、安倍村。



昂燿校で、まず昂燿から海神へと転校手続きを終えて
アイツの荷物を梱包して運び出す。

荷物はその場で、
配達業者を手配して海神校へと発送する。



その後、再び車を走らせて安倍村へと入る。




華月入院の今、代行業務を万葉が委任されて
代行している。



二時間半の道程を走らせて辿り着いた先、
俺たちは数日ぶりに、総本家の門を潜った。




「お帰りなさいませ。
 ご当主、飛翔さま」



何事もなかったかのように、万葉を筆頭に俺たちを
邸の中に招き入れる。



恐る恐る踏み入れた屋敷内も、
あの重苦しかった圧迫感は今は消えていた。



「万葉、華月が帰るまで村のことは任せる。
 今日は父の墓参りをして向こうに帰る。

 飛翔と行動を共にする。
 お前は成すべきことを」



神威は万葉に告げると、万葉はもう一度深くお辞儀をして
その場から姿を消した。




その後、俺と神威は二人
山道を通って、あの日、黄金の雨が降り注いだ
白浜を超えた向こうにひっそりと立つお墓へと向かった。



俺の一族が順番に弔われているお墓。
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