あんたなんて、だいっ嫌い…!!!

お隣さん

「あのさー、名前教えてくんね?」

「…枝先遥」

「ふーん。じゃ、俺、遥って呼んでも…」

「ダメ!」

田嶋大輝が言い終わる前に、私は彼のことをにらんでいた。

この名前を呼んでいいのは…呼んでいいのは…

「ご、ごめん!まさか、名前呼ばれるのが、泣くほど嫌とは…。」

え?泣いてる?

にらんだつもりはあったけど…?

そう思い、頬に手を当てると、顔が濡れていた。

泣いていると意識し出したとたん、出てきた涙は止まらない。

みんなも、何事かと思い、視線があつまってくる。

すると、桜が気付き、私のもとへ来てくれた。そして…

「田嶋くん!遥に何したの?!」

ち、違う。そう遥に言おうとしたけど、それを涙が邪魔をする。

「い、いや。なんか、名前で呼んでもいいか聞いたら、な、泣いたんだよ!
俺にもさっぱりだよ!」

桜がその言葉を聞いた瞬間、

「ご、ごめん!」

いきなり謝った。

桜にはどうも、私が泣いた原因が、分かったらしい。

「勘違いしてたみたい!本当にごめんね?あと、遥、体調が優れないみたいだから、保健室に連れていくって、言っといてくれない?」

「あ、ああ。そうみたいだな。
分かったよ。」

そういうと、彼は、何事もなかったように、ほほえんだ。

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