繋いだ手
「じゃあ改めて。返事を聞かせてもらえるかな?」

 どうやら返事をしないければ手を離すつもりはないらしい。顔を上げ、目の前にいる彼を見ると、嬉しそうにニコニコと微笑んでいた。
 その表情からして、悪い返事が返ってくるとは微塵にも思っていないのだろう。頭の中を見透かされているのが少し悔しかったものの、間違っているわけではないから彼女は頷くしかなかった。

 途端、彼は満面の笑みを見せる。そんな彼を見ると、やはりこれは現実の話なのだと目をぱちくりとさせた。
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