マーメイドの恋[完結]

「過去のことだから大丈夫よ」


夏子は、過去の女にまで嫉妬はしない。
もちろん、あんまり聞きたい話ではないが、嫉妬するのは違うと思うのだ。
それに、相手のことがよくわかってくるので聞いておきたいと思う。


「いろんなことがあって、今があるんよね」


倉沢の言う通り、わざわざたくさんの恋愛をする必要もないが、いろんな恋愛をして、わかってくることもある。


「でもさ、マサとセックスしたら離れられなくなる人もいたんじゃないの?」


セックスだけの付き合いで良いと思う女性なら、マサを知ったらなおさら夢中になるのではないかと夏子は思った。


「あぁ、本気になったりされるのが嫌だったから、最初に絶対に一度切りっていうのと、連絡先は交換しないっていうのを約束させたよ」


マサも自覚していたのだろう。


「大変だね」


「もう大変じゃないよ。そんなことする必要ないんだからね。夏子としかしないんだから。だからもう1回しようか」


「あはは。だからの意味がわかんないんだけど」


「抱きたいんだよ。夏子をたくさん」


< 130 / 169 >

この作品をシェア

pagetop