マーメイドの恋[完結]

ー早くマサに会いたい。早くマサがどうしているのか知りたいー


だけど夏子は、マサと連絡が取れないという状況を、良いことに繋げることは難しいと気づいていた。


ーいったいマサに何が起こったのだろうー


大阪へ行けばわかるのだろうか。
わからないのも嫌だが、知りたくないという気持ち、嫌な予感も強くなってくる。
それでも、もっと早く走ってくれないかと、気持ちは焦っていた。


新大阪で降り、そこからマサのアパートまで行くのには苦労をした。
タクシーだけで行くには遠すぎる。
1万円を超えてしまいそうだ。
スマホのアプリで調べながら、バスを使いなんとか辿り着いた。


緊張で、心臓がドキドキし、身体が震えてくる。
マサの部屋の304号室まで階段をのぼる前から、息切れをしたように苦しくなった。


逃げ出したい。
昼間は部屋にいないかもしれない。
しかし、とにかく部屋に行ってみるしかなかった。


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