重奏 ‐アンサンブル‐
独 奏 ‐ソロ‐
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クラシックが流れるとある部屋。


外見は近代ヨーロッパ風のお城だが、内装は実にクラシカルな雰囲気が漂う。

家人の趣味だろうか、部屋の壁には至るところにビスクドールが飾られている。



大きな暖炉前では、一人の男が椅子に腰掛け、流れる音楽に合わせ優雅に指揮者の真似をしながら楽しんでいる。



その男、すなわち城の主だが、50代後半の恰幅の良いオジサマといったところか。


上品に仕立てられたオーダーメイドのスーツを身に纏い、貴族を思わせる風貌だ。



「旦那様、ご報告があります。」



この城のメイドだろうか。


音楽を鑑賞している最中にも関わらず、男に話し掛けたのは10代前半の少女。



「あぁ。なんだい?」



男は気にする素振りを微塵も見せず、ニコリとメイドに問い掛ける。



「新撰組の件、失敗に終わりました。ドール32名、及び潜入役レイス・監査役鞍雀、合計34名全滅。新撰組側の被害は多少の怪我人のみです。」



メイドは抑揚のない声で、淡々と告げる。
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