重奏 ‐アンサンブル‐
「ん?そちらのお嬢さんは?」


「初めまして。薬師をしております、菖と申します。」



挨拶をしながらも、然り気無く間取りを頭に入れる。



「俺の腹痛治してくれたんだ。だからお礼さ、飯一緒に食べようと思って。」


「おお!そうなのか!うちのが世話になったな。」



菖がいる理由が分かり、更に笑顔になる。



「いえ。痛みが治って良かったです。お邪魔するつもりは無かったのですが、藤堂様のお言葉に甘えさせていただきました。」



「そんなことは気にする必要はない。ゆっくりしていきなさい。」


「ありがとうございます。」



屯所内へ潜入出来た上に、近藤からの印象も良い感じだ。


女な上に薬師、そして助けたとなれば警戒心が薄れ信用されるのは当然といえよう。


偶然とはいえ、まずまずの出だしだ。
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