今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
 氷水を作って、そこにタオルを浸して、冷たくなった頃合いを見て、絞ったものを陽菜の頬に当てた。

「ありがとう」

 陽菜の声は沈んでいた。

「気持ちいいか?」

 聞いた航太の言葉に頷いて、陽菜は落ち着いたような表情を見せた。


「そう感じるってことは、まだ熱が残ってるんだよ。ちゃんと冷やしとけよ」


 陽菜が頷くのを見て航太は立ち上がった。


「歩夢、あとよろしくな」


 リビングを出て行く航太を後ろから追いかけた。
 玄関で靴を履いている航太に話しかける。


「航太兄ちゃん、何があったの?」

 事情が知らないと対処の仕様がない。



 いつもなら無理やりにでも聞き出すけど、陽菜の様子では本人に聞けるような雰囲気ではないし、陽菜も教えてくれないだろうって思ったから。

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