今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
 国際大会もいくつか控えているし、陽菜はこれからも勝ったり負けたりしながら、経験を積んで強くなっていくんだろうな。

 未来の話なんて仮定でしかないけど、夢物語ってわけでもない。

 とても現実に近い未来の可能性。

 あいつにつきつけてやったけど、どう思ったのかな。

 諦めて手を引いてくれるといいけど……


 どっちにしても、陽菜の気持ちが大事だからね。

 どんなに他の男と戦っても、陽菜が僕を好きになってくれなきゃ何にもならない。

 僕はココアを飲んでいた陽菜の手から、カップを取り上げた。


「歩夢、まだ飲んでるのに」

 3分の1ほど入った中身。

「ぬるくなっちゃったみたいだから入れ直してあげるよ」

「飲み終わってからでいいのに」

 陽菜の懐からクッションを抜いて脇に置いて。


「ちょっと歩夢。何するの」



 小さな抗議の声をあげた陽菜を抱きしめた。

 
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