遅咲きプリンセス。
 
すると諸見里さんは、案の定、というか、すごく諸見里さんらしいというか……そんなこと言ったかしら? と首を傾げながら。


「鈴木ちゃんってアホね」

「……、……」


しかし、ひどく真顔で、そう言った。

ああ、やっぱり諸見里さんは分からない……!

なんだか、宿題を出された気分だ。


……そんなことがありつつ。


「それじゃあ、ごきげんよう」

「本日はありがとうございました」

「うん!じゃあねー!」


会社の外まで諸見里さんをお見送りし、タクシーに乗り込み、次の会社だろう、そちらへ向かった彼が見えなくなるまで頭を下げ終えると、達成感と心地いい疲労感に、ぐーっと大きく伸びをした私は、足取り軽く部署に戻った。

「お見送りが終わりました」と課長に報告をしに行くと、課長からは「諸見里さんに振り回されながらもよく頑張ったな」と。

そういう、ねぎらいの言葉をかけて頂く。

すると。


「ところで鈴木、なんだ、その……菅野とは、あれからどうなっているんだ? 鈴木さえよかったら、俺から誤解だったと弁解するが、実際のところは、本当にどうなっている?」


声を潜めた課長に、そう耳打ちされる。
 
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