誘う、誘ってる【短編】
誘う、誘えない。

鹿島さんは席を立つと鞄を持った。そして早足に私の後ろを通る。

ポンと頭を叩かれた。

「行ってきます! ほら、君も一緒に行くよ」
「あ、はいっ。すみません」
「下で待ってる」

慌ててパソコンの電源を落とし、私は出掛ける支度をした。急いで追い掛ける。


階下のロビー。

鹿島さんは大きな手を首もとにやり、ネクタイの結び目を直していた。営業部2課のエース。


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