きみは金色

近い距離で見つめ合って。そうしてきれいに重なったくちびるは、キスは。


たぶんいつもより、少し強くて長いものだった。



…なあ、でも。力入ってんのは、おれの方かも。


キュウ、て。しがみつくみたいに、背中にすがられたら。おれ、さ。


真子の手がかかったとこから、羽でも生えて、空飛べそうとか思うの。バカだろ。



でも、真子もバカだ。なんにもわかってない。



真子に出会うまでのおれは、たしかに存在するけど。



真子に出会った今じゃ、おれの世界は全部、真子のものなのに。


過去の思い出に作られてきた今のおれは、真子しか見ていないのに。




そんなこと言葉にしないけど。


そんなの、本当にバカだと思うけど。



でも触れてるくちびるから、あふれるくらい伝わっていればいい。













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