孤島の鬼
花に嵐の例えもあるさ
ためらいだけが真実だと鬼が言う。


五人乗りの船に一人

揺れて流されて

たどり着いた孤島には

鬼が棲んでいた。



その鬼は、三番目に好きになった少女の顔をしていた。

それでいて中身は自分だから

この島は、誰もいないのと同じ。


ためらう思考を言葉とした途端にそれは空に溶けて

真実は何もないことだと知った。


鬼が笑う

意味なんてない。

答えも正解もない。
ただの過程でしかない。



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