記憶のカケラ。〜君を思って前に進もう〜
頭の中で不安や疑問などといった感情が

かけめぐる。なおさら授業どころではな

い。ねぇ、叶汰。なんなの?何か言って

よ………叶汰…。

-キーんコーンカーンコーン…-

「今宵~!帰ろ~!」

「うん。まってて。」

長かった一日が終わり下校時間。

伽奈は放課後、所属しているチアガール

部の練習があるために、私は数少ない友

達である1人の紬と帰る。

紬は部活には所属していないけど、

小学校の頃から有名雑誌のモデルをして

いる。とにかく売れっ子で毎日大変そう

だけど、仕事は休日と平日は夜からだけ

だからこうして一緒に帰る事はできる。

でも可愛いくて美人な紬にはもちろん彼

氏はいる。だから平日の放課後の時間帯

なんてデートしたい時間なんだろうけど

紬は遠慮する私のそばにいつもいてくれ

る。悪いなぁっていつも感じる。

「おまたせ。」

教室のドアの柱に寄りかかっている紬に

声をかける。

「お♪やっときた!

ね、ね!今宵!」

「どーしたの?」

「先週の日曜日に3丁目の公園の近くに

できた新しいクレープ屋行くの付き合

ってくれない?おねがい!」

上目遣いで手を合わせて、お願いのポー

ズをされたら断れるわけないよ……。

それにそのお店は私も雑誌で見かけて

行きたかったところだしちょうどいい。

「うん。いいよいいよ。行こ!」

「ほんとほんと?!やった♡

あのねあのね、そのクレープ屋さんの

苺とカスタードクリームのね……」

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