代償 2nd mean
「で、何か用でも、あったんですか?」
改めて、氷族長に聞く。
「ん?」
「用でもありました?」
「ないよ。あ、そーだ、蓮華」
蓮華さんを呼ぶ。
「あれ、持ってきた?」
「はい」
バックから、何か取り出す。
細い箱。
見た目、古い。
ボロいね。
何入っているの?
「あ、」
凜音さんが指差す。
「それ、あの着物の?」
「ざんねーん。ちょーっと違うよ」
氷族長が箱を開けた。
………あ。
「ピアスね」

総長と呼ばれる族長が代々受け継ぐピアス。
年期入ってる………。
………何年、受け継いだの?
不思議。
「綺麗だね」
「そ。血が染みていたから、血抜きしたんだ」
「上時総長があの時、着けていたやつね」
ああ。
あの時ね。
………着物しか、見てなかった。
着物はどうしたんだろ。
「着物は?」
「それも、血抜きしたよ」
「誰が、したんですか?」
「僕だよ」
氷族長が親指をたてる。

………凄いね、その技術。
「だって、上時総長、昔からよく血まみれになったからね」
………はぁ。
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