カリス姫の夏
私の視線が気になるのか、藍人くんは臆病なハトのように何度も振りかえり、私を不思議そうに見た。私は『なんでもないよ』と伝える代わりに小さく首を振った。


その時、私と繋がっていた点達が背中を押した。大切にしたい繋がりを確かな物にしろと声援を送る。


そう、今なら言える。
そんな気がする。


「ねえ、藍人くん」


押し黙っていた私が急に口を開いたので、藍人くんは虚をつかれたような顔をした。


「はい?」

「藍人くん知ってる?
明日、地球は滅亡するんだよ」

「えっ⁈」


突拍子もない言葉と、私の真剣な表情に違和感を感じたのだろう。彼は一瞬、ひるんだ。


今がチャンスだ。ここで攻めなければ、一生言えない。



「だからね、これから言うことは明日にはみんな憶えていないの。
だって、そうでしょ。
地球が滅亡するんだから。
みんな、いなくなっちゃうんだもんね。
だから……
だから、言うんだけど……」


鼓動は、かつてないほど速まる。このまま心臓が動きを速めたら、地球がなくならなくても私に未来が来ないのでは、なんて心配になるほどの速さ。でも、ここまで言ったのだから後には引き下がれない。


「一回しか言わないから、ちゃんと聞いてね。
明日には忘れていいから。
今だけ、しっかり聞いてね」


真剣に見つめる私の気持ちが、彼にも伝わったのだろう。藍人くんは大きく一度うなづいた。


私は大きく息を吸い、ふうっと吐ききってから口を開いた。


私の口からポロポロとあふれ出た言葉。それは、人生初の告白。


「わたしね……
わたし……藍人くんのこと………」


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