カリス姫の夏


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石井さんの車が私の自宅近くに到着したのは、夜中11時は軽く回った頃だった。コンビニの駐車場に車が停まると、私の疲れ切った体はずるずると車からすべり落ちた。


石井さんは運転席のドアウインドーを下げ、

「お疲れ様でした。
昨日、今日って本当にありがとうね。
じゃ、気をつけてねー」

と、ねぎらいの言葉をくれた。


「こちらこそ、ありがとうございました。
石井さんも、疲れましたよね。
あと少しだから、運転気をつけてくださいね」


丸二日一緒に過ごし、人見知りの私も石井さんとほんの少し心が通じ合えたのかもしれない。私にしては上手に笑ってさよならの挨拶が出来ていた。


もっとも、華子さんは相変わらずで寝ているのか寝たふりなのか分からないが、身動き一つとらない。そんな姿を直視して、次回、華子さんの手伝いは絶対断ろうと固く心に誓った。



石井さんの車が消えるのを見送り、重い足取りで住宅街の路地を歩いた。


私の自宅は中間層の家が立ち並ぶ住宅街にある。小さな子どものいる家庭も多いが、もう、寝る時間なのだろう。窓を開けている家も多いが、各家庭から生活音は一切聞かれず静かだ。コンビニ付近こそ歩いている人もまばらにいたが、この脇道には猫一匹歩いていない。


両隣の家に挟まれ小さくなっている我が家はまだその姿を現さないが、その角を曲がれば100メートルほどで我が家がある……とほっとしながら歩いた。








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