【完】適者生存
翌日、小鳥のさえずりで目を覚ました。


「ん・・・あのまま眠ってしまったみたい・・・。」


私は体を起こし、毎日の日課である朝食作りをするため調理台へ向かう。


「姉様、お着替えを。」


調理台へ向かう途中、沙捺に声をかけられる。


・・・ああ、そうだった。


今日は儀式の日、だった。


私は胸に不安を抱えつつも巫女服へと袖を通す。


久しぶりに着る巫女服は少し懐かしさを感じた。


巫女服に着替え、簪(かんざし)で髪を結う。


少し唇に紅を塗り、儀式の際の巫女の格好になる。


私は部屋を出て、沙捺と一緒に儀式の間へ向かう。


外は12月の為か雪が吹き荒れている。


「姉様、此方です。」


儀式の間の場所は妹にしか知らされない。


私は沙捺についてゆく。


途中、吹雪が吹き荒れて体が薙ぎ倒しにされる。


・・運の悪いことに、崖下へ落ちてしまった。


助けを求めることもできず、ただただ落ちていく。


崖の上には沙捺が見える。


必死にこちらへ手を差し伸べている様子。


私もこたえようと上に手を伸ばすものの、距離は伸びていくばかり。


もう、だめだ。


そう思い目を閉じた。
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