Doll‥ ~愛を知るとき


引越しの前夜、一人でアパートを出た。

軽くメイクをし、オフショルダーの白いミニワンピを着て白のミュールを履いた。

露出度の高い服。

短すぎる丈は、今の気持ちを現しているのかもしれない。

朝になれば、浩也と引っ越し業者が来る。

その前に、会いたかった。


公園へと歩きながら、見上げた夜空に浮かんだ月。

銀色の光に願った、会いたい想い。

片手に握りしめたメモには、走り書きした住所。

仕事の合間に、従業員名簿から書き写した。


五階建ての綺麗なマンション。

そのエレベーターに乗り、最上階で降りた。

指が震えている。

だけど、


── ピンポーン


不安と緊張の入り交じった胸で、呼び鈴を押した。


 
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