手に入れたいのはお前だけ。


「……それで?」


人がまばらになった放課後の教室で、
椅子に座った美喜ちゃんがあたしを見る。



「え?それでって?」


「その放課後だけど、深高くんはどこ?」


「それは……」


美喜ちゃんに言われて教室内を見渡してみても、深高くんの姿はなくて。


「っていうか数学の授業のあとからいないよね」


……そう、あたしが話しかけたあのあと。
深高くんは教室には戻ってこなかった。


どこに行ったんだろう……。
あたしに残っててって言ったのに……。


< 30 / 322 >

この作品をシェア

pagetop