手に入れたいのはお前だけ。
「……それで?」
人がまばらになった放課後の教室で、
椅子に座った美喜ちゃんがあたしを見る。
「え?それでって?」
「その放課後だけど、深高くんはどこ?」
「それは……」
美喜ちゃんに言われて教室内を見渡してみても、深高くんの姿はなくて。
「っていうか数学の授業のあとからいないよね」
……そう、あたしが話しかけたあのあと。
深高くんは教室には戻ってこなかった。
どこに行ったんだろう……。
あたしに残っててって言ったのに……。