〖短編〗2度目のサヨナラ。


「蓮…」


呟いてみる。


どうしてだろう?

『小鳥遊君』でも『蓮君』でもなく、《蓮》とすんなり口から出てきたのは。




『宏斗…

そうだ、あたし宏斗の所にいかなきゃ。』



そう言ってあたしが駆け出そうとすると、蓮はあたしの腕を掴んだ。



「待て!!!!!

オマエ、宏斗になにする気だ!!!」


『なにって…見守るの。』


「見守る…?」



蓮は、本当か?とでも言いたげな目であたしを見てきた。



『そう。

宏斗が元気ないから。

笑ってくれないから。

泣いてくれないから。


ずっと、〈彼女〉を待ってるから。』


< 33 / 72 >

この作品をシェア

pagetop