年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 涙がボロボロ零れる。だぶだぶの袖で涙を拭く。拭いても拭いても溢れて来て、顔から枕に滝のように流れる。枕が濡れて冷たくなって、それでも泣き続けた。
 翌朝目が覚める。起き上がる。だぶだぶのパジャマで遠山の金さん状態で洗面所に行く。体重計に乗る。いつもの行動。


「……」


 ほとんど変わらない数字。いやパジャマが大きい分だけ上乗せされてる。


「あんなに泣いたのに減ってな~い。泣き損かあ、ははは……はあ」


 鏡の中の自分を見る。泣き腫らした目。肩からずり落ちそうなだぶだぶのパジャマ。跳ねまくった髪。みっともない。三十路のプライドもくそもない。悩んで悩んでこんな姿になるなら、潔く生きた方がいい。


「よしっ、決めた!」


 私は水を出し、バシャバシャと顔を洗った。





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