年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 襖の向こうから失礼します、という声が聞こえて由也くんは、はい、と返事をした。高級な器に美味しそうなお寿司が並んで目の前に置かれる。白に近い色の大トロ、溢れて下に零れたいくら軍艦、こんもりとしたウニ、光るような肌のヒラメ……。こんな高級なところでこんなお寿司、社長ご子息だと何度も来れるんだろうなあと思った。


「うああああ、美味しそう!! いっただっきまーす」


 お寿司の輪郭がぼやける。鼻が垂れそうになる。それでも必死に箸先でシャリを探して摘まんで口に入れた。


「ワサビが鼻に来たー、ははは」


 涙をワサビで誤魔化して必死に必死に飲み込んだ。






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