年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 由也くんの車に乗ってイタリアンの店に行く。大根おろしの乗ったパスタを注文する。鞄には同意書が入っている。


「綾香さん太りました?」
「えっ、ひ、ヒドイなあ由也くん。レディに向かって~」


 由也くんはすみませんと言って笑う。由也くんと偽の婚約をしてから痩せた。だから私の体重が安定するのは由也くんにとっては安心材料なんだろう。


「由也くんは順調?」
「体重は変わってませんよ」
「体重じゃなくて仕事」
「はい」
「お父さん、も?」
「はい。相変わらずワンマンですけど」
「じゃあ、トラウマも」
「うん。醸造工学の学生を雇うのに興信所に頼んで身元調査してる。商品開発室に予定してる以外は一般の新入社員と変わらないんですけど」
「ふうん」

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