年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 後悔した。ものすごく後悔した。どんな手段を使っても産むべきだったんじゃないか、いや、悩まずに中絶を決意した人だってそう思うのかもしれないけど。


「きっとこれからも思い出すんだよね、ああ今頃3歳かなとか小学生かなとか」
「そうですね」
「きっと由也くんを見る度にも、私……」


 思い出したくない。後悔したことも全て。


「だから別れて欲しい」
「中絶したことを思い出したくないから?」
「うん……」


 私がそう言うと由也くんは黙った。しばらく沈黙する。いたたまれなくて窓を見る。夕刻、日も暮れはじめた。夜が始まる、物悲しい時間。由也くんと別れて縁談を受ければこんな物悲しい夜を過ごさなくてもいい。夜明けが来るかもしれない。


「……それは違うと思います」


 由也くんが呟くように言った。由也くんを見る。
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