年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 翌日、寝不足の頭で出勤する。私の脳内はパニック状態だった。由也くんがライバル会社の御曹司で、それを理由に別れ話を切り出されて。てっきりプロポーズされると妄想してた私には急転直下の出来事だった。私も考えるなんて言っちゃったケド、ただただ事実を受け入れるだけで何も考えられない。振り切れた計測器の針みたいに処理能力をポーンと越えた状態。振り切れたまま動かない。いや動けない。


「長谷川隙ありっ、チョーップ!」


 会社のエントランスで背後から妙な挨拶をかましてくれたのは、同期の鎌谷だった。


「カマ……おはよ」
「テンション低くね?」
「ちょっと寝不足」
「お肌に悪いよ。もう若くねーんだしさ」
「うるさい、カマ。あんたも若くない」


 鎌谷は企画書持ってくから見てくれよ、と言って企画室のある方へ向かった。
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