年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 再びパンフを眺める。間取りを見て当てはめてみる。ここは由也くんの部屋、こっちが私の部屋、ダイニングキッチンには木目の綺麗な食器棚、玄関にはウェルカムボードみたいな写真をスクラップブッキング風に作って飾って。由也くんとこんなマンションで暮らせたらこんな感じかなって想像した。由也くんとの新婚さん生活を妄想した。


「白いフリフリエプロンは似合わないけどいい?」
「え?? エプロンですか?」


 由也くんはキョトンとした。白いフリフリエプロンって古いだろうか、今はカフェエプロンが主流だろうか。



「オムライスには絵心の無いいびつなハートでいい?」
「綾香さんが作ってくれるなら僕は何でもいただきます。エプロンにオムライス、それがマンション購入に何か関連があるんですか?」
「新婚さんの必須アイテムじゃん」
「そうですね」


 由也くんは笑った。二人でパンフを見比べた。立地、間取り、日当たりに景色。そんな話をしてる間は綿菓子のことは忘れられた。本当の新婚さんになった気分で嬉しかった。

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