年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 クリスマスイヴ当日、由也くんは会社近くまで車で迎えに来てくれた。由也くんに連れられて都心に出来たイルミネーションスポットに向かう。街はあちこちツリーやイルミネーションが飾られクリスマス一色、華やいでいる。それとは裏腹に私も由也くんも言葉少なで、どんよりとしていた。厳かにその時を待っている、何かを言い渡される瞬間を。

 年末の都心、道は混んでいた。それでも焦りはしなかった。道路の上だろうが、渋滞無しでさっさと目的地に着いてようが、残された時間は変わらない。由也くんといられる僅かな時間をただ静かに過ごしたかった。由也くんが上層部の定例会議で聞いてきたという新スポット、上層部に見つかりはしないか心配だった。けど由也くんは上層部は皆年配で興味無さそうだから大丈夫、と車を下りて私の手を引く。綺麗らしいから綾香さんと見たいって。最後のクリスマスデートなのに私には楽しく過ごそうとか味わいたいとかそんな感情は無かった。

 何とは無しに思い出す、由也くんが御曹司だと知って別れようと最後のデートをしたときのこと。時間を遡ってデートした場所を巡った。あのときはあのときで必死だった、でも今思えばロマンチックに浸ったオママゴトだったと思う。別れるなんて綺麗事じゃない、重くてドロドロしたものだ。
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