年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 成田を出たのは1月4日昼過ぎだった。帰国ラッシュなのかかなり混み合っていた。迷子にならないように由也くんの後を必死に歩く。着陸してからは由也くんは言葉少なだった。緊張してるんだと思う、彼女がいることすら知らない父親に私を紹介するのだから。女性の両親に会うのに緊張する、というなら理解するけど、自分の親に会わせるのにここまで緊張しないだろう。


「本当にいいんですか?」
「女に二言は無いのだ」


 機内で由也くんは、突然父親に会わせると父親が逆上する可能性があるから次の週末に、と私に提案した。つまりは話も聞かずに追い出されるかもしれないということだろうと思った。でも由也くんが父親に話した後じゃ、伺っても門前払いになるに決まってる。なら……。


「思い立ったが吉日だもん」
「驚かないでくださいね」
「ん。営業で大抵のことは慣れてる」

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