天体観測の夜は月に願いを… 

美咲が車の外をぼんやり眺めていると。


祈織「7年前、僕もあそこに入院していたんだ。」

美咲「7年前?私も事故の時、入院していたんですよ。少しの間ですけど。
   もしかしたら、出会っていたかもですね。」

祈織「ああ」


祈織は少し切ないような何か言いたげな表情をしたが、その話はそれ以上

続かなかった。

病院の駐車所に車を置き玄関口を入ると顔なじみの警備員が声を掛けて来た。


警備員「こんにちは、美咲ちゃん、今日は少し遅いね。」

美咲「工藤さん、こんにちは。」

工藤「おや!彼氏と一緒かい?」

美咲「そうですよ。」

工藤「随分イケメンだね。」


そのまま行き過ぎとうとしていた祈織が、二人の会話にビクっとして

振り返ると工藤を不思議そうに見つめてから会釈をする。

そうしてから私の手を取り祖母の部屋に向かった。

チラチラと看護師さんの視線を感じながら「こんにちは」と

前を通りすぎた。


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